
糖尿病
脂肪由来幹細胞を点滴投与すると、幹細胞は血液の流れに乗って傷ついた部位に集まります(ホーミング効果)。集まった幹細胞は分裂し、欠損した細胞を補ったり、新しい血管を作るなどそれぞれ目的をもった細胞に変化します。
この働きにより、すい臓のランゲルハンス島(島のように点在している細胞群)のインスリン産生細胞であるβ細胞の修復を行い機能を改善する効果があります。
また、糖尿病によりダメージを受けた血管を修復し、インスリンの効き目が弱くなってしまうインスリン抵抗性を改善する効果があります。 これらが作用することにより糖尿病の症状が改善されることに期待されています。
脳梗塞
脳梗塞後遺症として多く挙げられる運動障害は、梗塞巣の大小よりも、むしろ梗塞部位とそれに関連する神経症状の部位によって決定されます。 幹細胞を投与することで、傷ついた血管の修復や血管の新生を促す効果があります。それによって、血流を回復させたり、炎症を抑えたりすることができ、脳血管障害の後遺症を改善することが期待できます。
また、脳細胞にも作用し、機能しなくなった脳細胞を復活させ、これまでは回復の見込みがないとされていた後遺症の改善や、再発率が高い脳卒中の予防にも効果が期待できるとも言われています。
運動障害と同様に、認知症も梗塞巣の大小にかかわらず発症することが知られており、小さな脳梗塞でも発症することがあります。こういった脳梗塞後遺症の認知症を対象とした治療をすることも可能です。
フレイル
フレイル(虚弱)とは、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味し、介護が必要な状態の一歩手前と捉えられています。こうした身体的フレイル進行抑制および身体的フレイル予防を目的とした治療として、幹細胞の静脈点滴が用いられます。
幹細胞を投与することでサイトカインというたんぱく質などの液性因子を放出し、それらが体内の細胞に働きかけることで体内の慢性炎症を抑制することができます。慢性炎症を抑制することに加え、様々な細胞の活動性を上げたりすることが示唆されていることから、フレイルの治療に活用できると考えられています。